平成30年度 出水総合医療センター 病院指標

　総合内科では、内科系疾患全般を担当しています。入院加療を行う疾患では発熱疾患が多く、なかでも誤嚥性肺炎や肺炎、急性腎盂腎炎が多くなっています。誤嚥性肺炎、肺炎の症例の平均年齢は８０歳以上で脳梗塞後遺症などの基礎疾患がある方が多いため治療期間も長く、また加療後も自宅退院が困難で療養型病院等への転院が多い傾向にあります。

　小児科では、気管支炎、喘息、肺炎といった小児呼吸器疾患治療のための入院が多くなっています。次に多いのはウイルス性腸炎です。出水医療圏で小児入院の受け入れができる病院は当院のみであり、近くの病院から入院目的紹介が多くあります。入院後は急性期治療を行い退院後のフォローはかかりつけ医にお願いしています。

　外科では、ヘルニア手術、虫垂切除術、胆嚢摘出術など手術症例が上位となっています。「腸閉塞（イレウス）」には、消化器癌、癒着による消化管の絞扼など原因とした疾患に対して、緊急あるいは准緊急に手術を行っています。その他、がんに対する化学療法もガイドラインに沿って積極的に行い、放射線治療も行っています。またがん末期の緩和ケアにも取り組んでいます。
※放射線治療は平成３１年３月まで行っておりましたが現在は行っていません。

　 整形外科では、腰の骨折の症例が最も多くなっています。次に多いのが大腿骨骨折の手術目的で入院される症例です。平均年齢が高くなっており、高齢の患者が転倒等で骨折されると在院日数も長くなります。全国の平均在院日数に比べて自院の平均在院日数が長くなっていますが、これは、当院には「回復期リハビリテーション病棟」があり、急性期治療終了後の患者のＡＤＬ（日常生活動作）向上のために、当該病棟に移り集中的にリハビリが行われているためです。ここでの入院日数も含めているので長くなっています。大腿骨骨折は保存的目的で入院されている患者もおり、こちらも回復期リハビリテーション病棟に移り集中的にリハビリが行われるため在院日数が長くなります。

　脳神経外科では、脳梗塞治療の症例が上位となっています。脳梗塞の症例は全１１２件ですが、脳梗塞の診断群分類は発症時期、ＪＣＳ（意識状態を評価する方法のひとつ）、手術・処置、副傷病名、重症度等で細かく分かれるため上位になる条件に該当する症例数はこの数になります。全国の平均在院日数に比べて自院の平均在院日数が長くなっていますが、これは、当院には「回復期リハビリテーション病棟」があり、急性期治療終了後の患者のＡＤＬ（日常生活動作）向上のために、当該病棟に移り集中的にリハビリが行われているためです。ここでの入院日数も含めているので長くなっています。
　次に多いのは、頭蓋・頭蓋内損傷に対して手術ありの症例です。頭蓋・頭蓋内損傷には頭部外傷後の外傷性慢性硬膜下血腫や頭部外傷による外傷性くも膜下出血や脳挫傷などが含まれます。当院は慢性硬膜下血腫の手術症例の割合が比較的高いため、このような順位になります。

　消化器内科では、胆管結石、胆管炎に対しての手術ありの症例が最も多くなっています。胆石によって胆管が閉塞したり炎症を起こした場合に、ステントと呼ばれるプラスチックまたは金属で出来た筒状のものを入れ胆汁の流れを良くしたり、胆石を取り除くなどの治療を内視鏡を用いて行っています。次に多いのが憩室性疾患の保存的加療です。憩室とは大腸の壁の弱いところにできるポケットまたは袋のことをいい、炎症をおこしたり出血したりします。治療は薬の投与や食事制限などを行います。その他、誤嚥性肺炎・大腸ポリープに対する内視鏡的切除術（ＥＭＲ）・虚血性腸炎などの症例が多いです。
　当科では小腸内視鏡検査も含めて全消化管の内視鏡検査が可能です。さらに２４時間・３６５日緊急内視鏡に対応可能な体制を整えています。

　循環器内科では、狭心症などに対する心臓カテーテル検査のための検査入院が最も多くなっています。治療が必要と判断された場合は経皮的に冠動脈の狭窄をバルーン（風船）で拡張する治療や再狭窄を防ぐためにステントと呼ばれる金属で出来た筒状のものを留置する治療も行っています。また不整脈に対して経皮的カテーテル心筋焼灼術の治療を行っている症例も多くなっています。その他、心不全治療の症例も多くなっています。
　当科では平成２８年７月から、時間外における緊急カテーテル検査の受け入れ体制も整えています。
※心臓カテーテル検査とはカテーテルと呼ばれる細い管を足の付け根、腕、手首などの動静脈から心臓内部あるいは心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈に挿入し、心臓の働きや冠動脈の状態を調べる検査のこと

　腎臓内科では、慢性腎臓病・慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群の症例が上位にあがります。慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群に対する腎生検やステロイド加療の症例、急性腎障害に対する診断や全身管理目的の症例、末期腎不全に対する内シャント設置術の症例、透析患者の透析シャント狭窄・閉塞に対する血管内治療の症例、透析患者の合併症治療の症例、腹膜透析患者管理目的の症例、多発性嚢胞腎に対するトルバプタン製剤導入の症例、急性腎盂腎炎や尿路感染症の症例、電解質異常の症例等を診ています。
※シャントとは動脈と静脈をつなぐことにより動脈血を直接静脈に流すこと

　眼科は平成３０年１０月から医師が常勤となり、平成３１年１月から白内障の手術が出来るようになりました。基本的には２泊３日で、手術当日に入院していただきます。

　外科では、鼠径ヘルニアに対して行うヘルニア手術（鼠径ヘルニア）が多くなっています。手術後約1週間で多くの患者が自宅退院となっています。次に多くなっているのは虫垂炎に対して行う腹腔鏡下虫垂切除術です。虫垂周囲膿瘍を伴うと術後の経過も少し長くなっています。その次に多くなっているは胆のう結石や胆石性胆のう炎に対して行う腹腔鏡下胆摘出術、次いで大腸がんなどに対する結腸切除術となっています。

　整形外科では、大腿骨骨折に対して行う骨折観血的手術（大腿）や人工骨頭挿入術（股）が多くなっています。２つの手術で全体の７０．００％を占めています。平均術後日数が長いのは、術後は回復期リハビリテーション病棟へ移り、当院で継続してリハビリ治療を実施しているためです。また回復期リハビリテーション病棟では、平日だけに限らず土曜・日曜・祝日を含めた３６５日体制でリハビリを提供しています。

　慢性硬膜下血腫に対して頭蓋骨から穿頭して行う慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が最多となっています。次に多くなっているのは、水頭症に対するシャント手術（過剰な脳脊髄液を体内の他の場所に排出する手術）、腰部脊柱管狭窄症に対して行う椎弓切除術などとなっています。

　消化器内科では、大腸ポリープに対する内視鏡的切除術（ＥＭＲ）、早期食道・胃・大腸がんに対する内視鏡的切除術（ESD）、総胆管結石排石術、胃瘻造設術などの内視鏡治療を多数例行っています。症例数は大腸ポリープなどに対する内視鏡的切除術（ＥＭＲ）が最も多く、ほとんどの方が手術翌日に退院となっています。こちらは外来でも行っており実際の症例数はさらに多くなっています。

　循環器内科では、狭心症や心筋梗塞などに対して行う経皮的冠動脈ステント留置術が多くなっています。次におおくなっているのは不整脈に対して行う経皮的カテーテル心筋焼灼術です。次は下肢の閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢に対して行う四肢の血管拡張術・血栓除去術が多くなっています。その他、洞機能不全症候群や房室ブロックに対して行うペースメーカー移植術（経静脈電極）なども行っています。

　腎臓内科では、長い間シャントを使って透析をしている間に、シャントが狭窄・閉塞を起こした場合に経皮的シャント拡張術・血栓除去術が行われています。次に多いのは内シャント設置術です。慢性腎不全が進行し末期腎不全になると血液維持透析が必要になり内シャント設置術を行います。

　眼科は平成３０年１０月から医師が常勤となり、平成３１年１月から白内障の手術が出来るようになりました。基本的には２泊３日で、手術当日に入院していただきます。