出水総合医療センター

臨床工学科

臨床工学技士とは?

 国家資格「臨床工学技士」という資格のもとに院内における医療機器の中央管理、操作・メンテナンスなどを主体とし臨床における医療提供を行っています。簡単に申しますと、「病気を知っている機械屋さん」といったところです。これは、学生の頃に先生が言っていた言葉でした。機械屋ですので、医療行為はできません。
 臨床工学の歴史としては、1988年に技士法施行となりました。その9年後には当院でも臨床工学技士室として独立し中央機器管理を開始致しました。これは、県下でも中央管理というシステムを早期に導入した施設となります。
 当院当科は3名勤務しています。3名で業務を行っていくには、効率的な運用とシステム、そして協力が必要となります。それらをこれまでのノウハウと多職種の業務連携により遂行しています。

医療機器管理業務

 中央管理は施設にとっても有意義であります。DVD・CDレンタルショップを思い浮かべて下さい。ある程度の保有数で、その地域の方々が映画や音楽を楽しめるというのは、全員が一斉に同じものを必要とするのではなく、必要なタイミングというのがあるためです。不要な時に多くのレンタル商品が置いてあるとそのレンタルショップは、経営が成り立ちません。それと同様に院内に必要な患者さんというのは限られています。重症な方もいらっしゃれば軽症の方もいらっしゃいます。医療機器にも必要なタイミングというものがあり、需要にあわせて装置を保有し、いつどこでも確実に安全に使用できるように点検・修理をして使用できるようにしていることが医療機器の集中管理です。また、院内に点在している装置などは、期間を決め定期的な点検により安心して利用できる環境を整えています。
 業務内容としては、臨床と違い患者さんと接する機会が少なく機械相手ということになってしまいがちです。しかし、私たちが点検し現場でストレスなく使用でき、投薬・治療することで患者さんの状態が軽快していくことが大きなやりがいだと感じています。
 また、カテーテルなども医療機器に属します。必要であるが、常時使用するものではない、使用する機会が少ないといった製品も当科で管理し、使用する際には情報提供が行えるようにしているのも特徴の一つだと思います。
 繰り返し行われている日々の業務とは異なり不慣れな部分もある医療材料を使用するためには、このようなことも必要だと思っています。稀な手技や材料であっても、患者さんにはトラブルの少ない医療提供ができるように努めています。
  
中央貸出管理機器 管理診療材料
輸液ポンプ
シリンジポンプ
経腸栄養ポンプ
低圧持続吸引器
フットポンプ
生体情報モニター
自動血圧計
多用途血液処理装置
腹水ろ過濃縮装置
人工呼吸器
高低体温維持装置
超音波診断装置
皮膚還流圧計
電動昇降リフト式体重計
バッグバルブマスク
離床センサー
カリウム吸着フィルター
CVカテーテル
経皮気管切開キット

呼吸療法業務

呼吸に関わる医療機器の管理業務です。
在宅酸素から院内の人工呼吸器まで、幅広く治療導入から離脱までの関りを行っています。
眠っている間の無呼吸に対しての呼吸補助であったり、手術後の呼吸器設定のチェックから離脱までの呼吸器フォローであったり、マスク式人工呼吸のマスクフィッティングであったりと多種多様の呼吸に関する対応を行っています。
人工呼吸器の特徴・能力を把握し、適材適所で装置選択から設定・運用を図っています。
呼吸というのは、日常気にかけることなく行われる生体の運動です。その運動機能が損なわれると、常に苦しい思いをしなければなりません。そういった部分を装置で補助することに関する業務となります。

血液浄化業務(透析)

 血液浄化というと血液をきれいにするというイメージとなりますが、血液透析の患者さんが対象の仕事となります。血液透析は腎機能が障害され、人体に不要となる物質の排泄が困難となり尿毒症と言われる代謝老廃物の蓄積した状態の血液を、フィルターを介して透析液に排出除去することです。
 これには、拡散・吸着・濾過といった原理が利用されています。フィルターにも穴の大きさ、数、膜の厚さや性質などがあり、それらを各々の患者さんにニーズに合わせた条件を提言し治療として提供していきます。また、透析にはたくさんの水を使用します。一台の装置につき使用するのは数名の患者さんです。血液が接触するということもあり、装置の洗浄・消毒をしっかりしなければ感染などを防ぎきれません。そのうえ、治療に必要な透析液を作製しますが、これにも多くの水が必要です。一回の透析に必要な水は1人分で150Lほどにもなります。それらに少しでも不純物が含まれていると1回が4時間程度、週に12時間、年間630時間もさらされることで慢性的な合併症を起こしかねません。そういった装置、材料、手技や方法を管理実践しています。ですが、630時間というのは、26日程度であり一年で1月に満たない時間しか、腎臓の代わりができていないというのが現在の医療の限界でもあります。その時間を大切に扱うというのが我々の役割でもあります。
 透析患者さんというのは、元気な方の約10倍動脈硬化の進行が早いともいわれています。動脈硬化は老化の原因です。また、動脈硬化により下肢動脈に何らかの障害をきたし末梢動脈疾患といわれる血流不全が、余儀なく生活の質を落とします。動脈硬化を元に戻すことはできませんが、進行を遅らせる、新しい血管で代替する、血液性状を変化させ血流を改善するといった方法で症状を緩和することもできるようになっています。そういったケアを含め、慢性維持透析といった患者さんのために日々管理業務を行っています。
 また、急性症状に対しても臓器不全を伴うような重症症例では、循環動態が不安定であり、体液バランス管理などを含め集中治療に対する24時間対応の治療提供を行っています。

高気圧酸素業務

 高気圧という1気圧高い環境下で、酸素を吸う治療となります。
 1気圧というのは、約水深10mと同じような環境です。とはいっても、本当に水の中に入ったりはしません。患者さんには、高圧に耐えられるタンクの中へ入って頂き、その中を10分から20分かけて気圧を高め、その高い環境の中で酸素を吸います。また、合併症を防ぐため15分ほどかけゆっくりと気圧を下げていき、1回の治療を終えます。このサイクルを5日くらいから30日程度、繰り返し行う治療となります。
 高気圧酸素により、体内の酸素濃度は通常の環境下にいるよりも、約14倍になることが確認されています。これは、酸素を運搬する血球が流れにくいところにも酸素を運ぶことで、症状が緩和するといった効果を期待しています。
 酸素が不足している病態、菌などによる感染状態へ適応する治療となります。
 脳血管が閉塞し脳虚血になる病態、腸管がむくみをきたし血流不全となったことで低酸素となった状態、血流障害や糖尿病、感染による潰瘍の重症化、有毒ガスの蓄積などに対して有効です。
 ただし、この環境を作るにあたり耳の中が痛くなったり吐き気をもよおしたり、血圧が上昇するなど副作用も存在します。これらにも十分配慮し安心して治療に臨めるようにしています。

血管内治療・検査補助業務

 血管というのは、生活で利用する道路のようなものです。この道路には高速道路、国道、路地といった環境に合わせた道路が貼り巡っています。
 道路が遮断されてしまうと・・・その先にある道には交通ができません。それらと同様に、血液がながれなくなると酸素が供給できないことになってしまいます。これにより細胞が酸欠になってしまい壊死をきたします。それを梗塞と言います。脳や心臓の細胞は一度壊死してしまうと、元に戻すことはできません。一刻も早く血流再開し、障害されている部分を少なくする治療必要があります。
 心臓、脳、下肢、透析患者さんの治療に使われる血管などの狭窄・閉塞を、造影剤や超音波を利用することで発見し、風船やステントと呼ばれる金属で広げる治療となります。状態が悪い場合には、循環を補助する装置を使用し、ときには心臓を動かすための電気を流すペースメーカ、除細動装置などの使用を補助します。

最後に

 これらに関わる医療器具・機械・装置は様々なものがあり、その使用目的・操作方法や適応を知っておく必要があります。たかが10分されど10分。1分1秒で血流が止まったことによる障害の度合いは全然違います。そういった迅速さが求められる環境を把握し、医師とともに治療に臨んでいます。
 これに関わる治療の介助、装置の操作・保守管理を業としています。
 このように、臨床工学技士の業務というのは、生命を維持するための機能が障害されたときに使用する装置が主です。日常に使われるポンプなども一歩間違えると、医療事故の原因となります。
 私たちは、日常ありふれた機器の管理とともに医療事故に繋がらない準備や配慮を行い、医療機器を利用される患者さん、スタッフへの負担軽減を心がけています。
 当院を利用されるすべての患者さん、人々のために。安全、安心、安定を提供していきたいと思います。