肝臓内科 ※要予約
治療内容
当院肝臓内科は、毎週木曜日に鹿児島大学病院消化器内科から椨医師が出向し、診療を行っています。血液検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査を用いて、肝機能障害や肝腫瘍の精密検査、慢性肝炎や肝硬変の治療を中心に行っています。また、原因不明の肝臓病の精密検査や肝細胞癌の治療など、入院が必要な患者様につきましては、鹿児島大学病院、鹿児島市立病院などの肝疾患専門医療機関と連携して診療しております。肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、進行した病態でないと症状が出現しないことも多く、重要な疾患が見逃される可能性があります。軽度の肝機能障害であっても、一度肝臓内科の受診を御検討いただけましたら幸いです。さて、当科では多くの肝臓病患者様を診療しておりますが、特にB・C型肝炎に対する最近の治療の進歩には目覚ましいものがありますので、以下に御紹介させていただきます。
Ⅰ.B型肝炎
主な治療法には核酸アナログ製剤の内服とペグインターフェロン製剤の皮下注射があります。年齢や合併症などでペグインターフェロン製剤が使用できない方、肝硬変まで進行している方などでは、核酸アナログ製剤が第一選択とされています。2006年以降はエンテカビル(ETV)という核酸アナログ製剤が多く使用されてきましたが、2014年にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)が新しく認可されました。TDFは強力なウイルス増殖抑制作用を有しており、ETVと比較して妊婦に対する安全性が高いとされています。したがって、妊娠を希望する場合あるいは妊娠中に核酸アナログ製剤を使用する場合は、TDFを選択することとなっています。また、2017年2月に新規の核酸アナログ製剤であるテノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)が発売され、TDFと比較して腎および骨に対する安全性が改善されました。ただし、核酸アナログ製剤はインターフェロン製剤と異なり、投与中止後の肝炎再燃が多いため、基本的には長期間の内服継続が必要となることに留意しなければなりません。
Ⅱ.C型肝炎
2014年7月にセログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変(黄だんや腹水がなく、肝臓の体力が保たれた状態の肝硬変)の患者様に対する初めての経口抗ウイルス療法(インターフェロンフリー治療)が認可されました。ダクラタスビル+アスナプレビルの24週間併用療法で、ウイルス消失率は80%以上となっています。その後、2015年7月にソホスブビル/レジパスビル、2015年9月にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル、2016年9月にエルバスビル+グラゾプレビル、2016年11月にダクラタスビル/アスナプレビル/ベクラブビルといった抗ウイルス薬が認可され、12週間の治療でウイルス消失率は95%以上となりました。また、セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変に対しても2015年3月にソホスブビル+リバビリン併用療法が認可され、12週間の治療でウイルス消失率は90%以上となっています。更に2017年9月には、セログループ1~6(ジェノタイプ1~6)を対象とした抗ウイルス薬であるグレカプレビル/ピブレンタスビルが認可され、C型慢性肝炎においては最短8週間の治療が可能となりました。抗ウイルス薬と他の薬剤との相互作用、治療開始前の腎機能、C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異など、いくつかの注意点はありますが、C型肝炎は治癒する時代へとなってきています。副作用も少なくなり、御高齢の患者様でも治療できるようになってきたため、C型肝炎の患者様におかれましては、ぜひ一度肝臓内科へご相談ください。
医師紹介
役 職 | 氏名 | 担当分野 | 専門医資格・所属学会等 |
非常勤医師 | 椨 一晃 | 肝臓病学分野 | 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本消化器病学会専門医 日本肝臓学会専門医 (所属学会) 日本内科学会 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 日本肝臓学会 |
診療実績
令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | |
延べ外来患者数 | 1,421 | 1,404 | 1,530 |
延べ入院患者数 | ー | ー | ー |
手術件数 | ー | ー | ー |
※診療は、原則予約制となっておりますので受診を希望される方は地域医療支援センターにご連絡下さい。